●竹採取2023
2023年12月24日
今年も九州へ竹採取に行ってきました。
宮崎、鹿児島、熊本、福岡を周る強行軍でへとへとになりました。細身のものを除いて、竹はかなりの本数を持っているのですが、素材への執着は止みません。
今回は150本くらいとりましたが、これから芽取り、油抜きの作業が待ってます。採取のときはこれもいい、あれもいいと夢中になって切りますが、これから始まる下作業ではこれもだめ、あれもだめと、欠点を探す目になってしまいます。採取した竹の半数以上は廃棄することになりますが、残った竹のうち何本が竿になるのか、良材は少ないです。
昨年12月にこのコラムで「竹採取のポイント」を掲載し、竿用の竹がありそうな竹藪となさそうな竹藪の見分け方を紹介しましたが、今回は竹採取に必要な道具3点を紹介いたします。
左の写真は鋸です。竹藪では両手をあけておきたいので、折り畳むとポケットに入る携帯鋸は便利です。刃の細かいものが切断面が荒れないのでお勧めです。布袋竹はできるだけ根の近くまで生かして切るため、鋸の刃が石などをこすってすぐだめになりますので、替刃が必要です。
中央の写真は園芸用の剪定鋏で、枝を落とすのに使います。ペリカンの口のような鋏で、いい音をだしてよく切れます。写真は岡恒というメーカーの製品ですが、竹採取の専門家から勧められたもので、30年近く使ってますがいまだによく切れます。
右は芽取りに使う鋏です。芽取りとは、剪定鋏で切ったあとの枝の付け根を切り取る作業です。後の油抜きなどの作業を行いやすくするための工程です。この作業は現地で行うのは難しく、帰宅してからの作業になりますが、できるだけ早く行います。竹に水分が含まれているうちに行ったほうが切り口が荒れないからです。かつて九州では竹専用の芽取り鋏が広く普及してましたが、釣竿用の竹の流通がなくなり、現在では芽取り鋏は作られてません。私も一時使っていた鋏が切れなくなって困ったのですが、岐阜県関市の兼進という刃物メーカーの方から、これが使えるのではないかと紹介されたのが写真の鋏です。「又枝切」という盆栽などに使う鋏で、芽取りにぴったりでした。竹枝の付け根は硬く、通常の鋏だと刃が嫌がって押し戻されるようになるのですが、この鋏はそれがありません。芽取り鋏でお悩みの方にお勧めします。