ブログ「工房だより」

●布袋竹と丸節竹

2018年07月17日

この2種の竹は船竿の代表的な素材で、ほとんどの竿はこのどちらかの竹で出来ています。どちらの竹も堅牢で適度なテーパーを持った素材が得られるからです。ただ出来上がった竿の調子は異なります。

布袋竹は粘りが強く、魚の引きに応じて腰深く曲がります。この竹は断面がD字型で、加わる力に対して身を曲げて耐えるという特性を備えているからです。丸節竹の断面は正円で、これは加わる力に対して曲がるまいとする構造で、魚の引きに対して突っ張って対応します。布袋竹竿は魚が竿に吸い付いたように上がってくるのに対して、丸節竹竿は魚が竿と力比べをするようなゴツゴツとした手ごたえで上がってきます。

この2種の竹、対象魚によっては向き不向きがあります。当ホームページの製品見本でも述べたように、イワシ餌のメバル竿などは布袋竹でなければふっくらした胴調子の竿は出来ません。フグ竿は張の強い丸節竹の方が感度や操作性が優れます。ただしこの両竹の適性は一部の竿に限ったことで、多くはどちらの竹を使ってもそれぞれ妙味が楽しめます。私はシロギス竿を何本か持っていますが、いま数えてみると布袋竹竿は10本、丸節竹竿は9本、矢竹と高野竹の竿がそれぞれ1本です。日々の釣行を踏まえて作ってきたものですが、布袋竹、丸節竹それぞれ魅力のある竹であることが分かります。

 


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